第二外国語の今昔

 今昔といっても40年ほど前からの話だ。大学では英語の他に第二外国語を履修するのが当たり前だった。英語を第一外国語とよんだ記憶はないのだが、たぶん第一外国語だったのだろう。大学生になるとき頭を悩ましたのが第二外国語を何にするのかという問題だった。40年前だと、フランス語、ドイツ語は履修できるのが普通で、ロシア語、中国語も珍しくはなかったと思う。それ以外となると極端にすくなくなったはずだ。

 ロシア語なら社会主義またはロシア文学への関心が選ぶ理由になっただろうし、ドイツ語なら医学・工学・文学といったジャンルが強かった。フランス語は何よりも文学・哲学の言語だったし、中国語は歴史と文学への関心から選ぶ人が一部だがいた。履修者はドイツ語とフランス語が圧倒的に多かっただろう。かくいう私もフランス語を選択した。

 あれから40年、第二外国語の勢力図は大きく変わった。ロシア語の没落がまず目につく。これはよくわかる。今さらレーニンやスターリンを原語で読もうと考える若者がいるはずもないし、ロシア文学の影響力もずいぶん衰えた。ドイツ語、フランス語の魅力もそうとうに減じた。ドイツやフランスを観光するのに便利だという以上の動機のある若者はどの程度いるのだろう。昔はフランス人は英語をしゃべらないとまことしやかに言われたけれど、今やドイツ人もフランス人も英語を日本人よりずっと達者に話しているのだから、ドイツ語やフランス語のモチベーションが高まるはずもない。

 朝日新聞によるとドイツ語やフランス語の減少を尻目に急増したのが中国語だったという。中国語は何よりも実用原語として選ばれたのだろう。ところが近年中国語選択者が減っているのだという。日中関係が冷え込んだのが理由だそうで、実利一点張りの身も蓋もない話しだ。中国語に替わってのしてきたのが何とスペイン語なんだそうで、朝日新聞では理由は書かれていないが、話者人口の多さとサッカーが理由なんだろう。私の予感ではスペイン語の隆盛は今がピークで中国語の王座が当分続くだろうと思う。そしてじわじわち増えるのがアラビア語の可能性がかなりありそうだ。

 第二外国語の勢力図とは別に我が道を行くといった感じで学習者が増えているのが韓国語だと朝日記事はいう。NHKテキストは中国語14万部に対して韓国語24万部で勝負ありなのだ。理由はいうまでもなく冬ソナ以来の韓国ドラマブームを支える女性の熱気だ。年配の女性がテキスト購読者の中心だろうから、大学の第二外国語とはストレートには結びつかない。

 実利的な理由で中国語、スペイン語、アラビア語といった原語が選ばれたりしているが、現実の世界は圧倒的に英語がのさばり続けている。実用的な世界では英語ですべて用が足りるようなのだ。不愉快きわまりない話しだけれど事実は否定しようがない。この流れがひっくり返ることがあるのかといえば、アメリカやイギリスが没落しても英語帝国主義だけはますます拡大していくのではないだろうか。

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この記事へのコメント

2014年01月12日 10:03
 好著水村美苗の「日本語が亡びるとき」を思い出します。ネットの世界の成立でますます英語の優位性が高まってしまうようですね。

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