映画「オマールの壁」

 横浜のジャック&ベティで「オマールの壁」を見てきた。戦後70年間、自由と平和を標榜するアメリカ=西側世界がはらむ欺瞞と偽善を告発し続けてきた存在がパレスチナ問題だった。今、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区にはイスラエルによって恣意的に分離壁が建設されパレスチナ人社会が分断されるという事態が進行中である。国連の非難にもかかわらずイスラエルはやめようともしないし、アメリカはそれを黙認している。中国の人権問題をあげつらうなら、イスラエルの人権問題はなぜ実効性のある批判がなされないのか。

 「オマールの壁」は監督、俳優、資本すべてがパレスチナ人による映画であり、ヨルダン川西岸地区で生きる青年たちの鬱屈と反抗、実ることがなかった恋を描いた映画である。 主人公オマールは幼なじみの3人組でイスラエル兵を襲撃したものの、なぜかイスラエルの秘密警察に捕らえられる。巧妙なわなにはめられたあげくにオマールはイスラエルに「協力する」ことを約束して釈放される。イスラエル兵襲撃の首謀者タリクの逮捕に協力することが条件だった。タリクは恋人ナディアの兄だった。こうして話しは込み入ってくるわけだが、やがてタリクは仲間に裏切り者(イスラエルの内通者)がいることを知る。裏切り者は誰か、恋の行方はどうなるか、脚本はよくできている。

 映画や小説の神髄はやはり青春がテーマなんだなあと思う。「オマールの壁」が現在進行形の青春なら「山河ノスタルジア」は過ぎ去った青春がテーマだった。「オマールの壁」がハッピーエンドではない展開なのに、恋という映画の王道を踏んでいるという一点で、見終わったあとに一種のすがすがしさを感じさせる。オマールを演じたアダム・バクリの好演が印象的。

 とはいえ、パレスチナの現実はあまりに酷い。日本社会で沖縄が受けている差別をパレスチナが西側世界では受けているといえる。映画の字幕監修に重信メイの名前があった。なるほど。

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