映画「主戦場」にのけぞる

ユニークな話題のドキュメンタリー映画を遅くなったがようやく横浜ジャック&ベティでみてきた。ほぼ満席。上映館は神奈川ではここだけだから当然か。
この映画はアメリカ映画という分類になるらしいが、舞台は日本、テーマは「従軍慰安婦の何が真実なのか」。監督は日系アメリカ人で日本に留学経験のあるミキ・デサキ。

映画の基本は、従軍慰安婦が日本軍の性奴隷であり認めがたい人権侵害であったと主張する「左派」と、慰安婦は業者の募集に応じた金目当ての売春婦であって日本も日本軍も直接の責任はないし慰安婦は奴隷とはほど遠い生活を享受していたばあいもあったと主張したいらしい「右派」の主張を観客の前に提示して、歴史と人権をめぐる主戦場を実感してもらおうという内容になっている。「左派」はこの問題にある程度詳しい人なら知っている林博史、植村隆、吉見義明など学者または評論家が多く登場する。「右派」はけっこうな有名人が多い。櫻井よしこ、藤岡信勝、ケント・ギルバート、ネット上の有名人テキサス親父、加瀨英明など。

この問題にほとんど知識のない人が見たらどう思ったろう。「右派」の発言者の数人が上映中止を求めて提訴したという事実からも、「右派」にとっては不都合または不本意な映画だったと言えそうだし、映画を見ただけで言えば「左派」に事実に立脚した発言が多く、「右派」は日本がそんなことをするはずがないでしょうという先入観(偏見)を前提にした感想レベルの発言が目立つ。これを意図的な切り取りとつぎはぎの結果だと「右派」は言いたいらしい。でも「右派」はいつも言っていることを得々としゃべっていただけだと私は断言できる。それにしてもテキサス親父だとかケント・ギルバートなんて応援団をうまくリクルートしたものだ。

従軍慰安婦がなぜ問題なのかと言えば、映画の中で中野晃次が的確に指摘しているように、戦前も戦後も日本はアジア解放の星であり続けたのに、たまたま戦争に負けてアメリカに憲法と民主主義を押しつけられたために国体が損ねられたとする日本会議に代表される歴史修正主義者の改憲イデオロギーが勢いを増しているからだ。従軍慰安婦は栄光の日本軍の歴史に唾する汚点とされる。「歴史戦」の主戦場となるわけだ。

しかし、「右派」のお粗末さを象徴するのは加瀨英明の「僕は本も読まない」の発言だろう。この人は「右派」の総帥なんじゃないの。本も相手の言い分も聞いたことはなくて、自分の妄想を語ればそれを受け入れる人びとがいるという日本の現状がひたすら怖ろしくなる。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック