映画「米軍が最も恐れた男カメジローの生涯」と「太陽がほしい」

 二日続けてドキュメンタリー映画を横浜でみた。まず「米軍が最も恐れた男カメジローの生涯」(佐古忠彦監督)。前作「米軍が最も恐れた男その名はカメジロー」の続編になる。沖縄人民党を率いて米軍政と真っ向から対決した瀬長亀次郎の生涯を描いたのは共通するが、1950年代から書き継がれた日記を素材としながら亀次郎の素顔に迫ろうとしているのが本作の特徴といえる。社会運動一筋、人民と沖縄のために生き抜いた生涯は政治的立場をこえて敬愛された政治家が亀次郎だった。映画の印象的なシーンは国会での佐藤栄作との対決場面だ。沖縄返還の欺瞞性を亀次郎が衝くと佐藤はやや困ったような顔をしながら亀次郎の攻撃をかわす。佐藤栄作という人物を私はまったく評価しないけれど、この時の佐藤の表情には血の通う人間がここにいるのだと感じさせるものがあった。およそ安倍晋三ら昨今の権力者にはこうした感受性はみられない。佐古監督もそう思って長い対決シーンを挿入したのだろう。

 もう一つのドキュメンタリーが「太陽がほしい」(班忠義監督)。戦時中に山西省で日本軍の性暴力の被害に遭った女性たちの記録だ。インタビュー映像を中心にしながら山西省現地や戦時中の記録映像などで映画は綴られる。日中戦争が始まると黄土高原の山西省は日本軍に占領される。国民党軍は敗退し共産党の八路軍がゲリラ戦を展開していたのが山西省だった。
 山西省に侵入した日本軍に占領された山西省の村々では多くの女性が日本軍の性暴力の餌食となった。被害者は山西省だけでも何人になるのか見当もつかない。被害女性たちのごく一部は1990年前後に日本政府の謝罪と賠償を求めて日本の裁判所に訴えた。しかし、裁判では被害事実は認定されたものの賠償は認められなかった。日中共同声明によって賠償請求を中国は放棄していたからだ。韓国の慰安婦・徴用工裁判が日本では敗訴してきたのと同じだ。現在、被害女性たちの多くは亡くなっている。中国共産党政府と日本政府が結んだ条約がどうして一個人の取り返しようのない損害と悲しみを消し去ることができるのか、自分がその立場になったらどう思うのか、そう考えさせる映画だった。

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